信頼のおける記録上、アメリカの支援者達のおかげで、ゴリラズのアメリカでの関心は確かな数になっていたが、これ程激しく反応するとは誰も予測できなかった。
ラッセル: レーベルと打ち合わせるために向かったアメリカの背後ではCDがリリースされる大分前、俺たちがどうやってこの計画を走らせたかったかちょっと試して説明してみた。たくさんのひと達に向けて、結果がすぐ出るものではないことに対して、俺たちが行く道だからな。
マードック: まじか? 心を掴むのになにがそんなに難しいんだ?
いざという時には、この新たなイギリスのアクションである『ゴリラズ』が、CDの販売枚数をおよそ25,000枚に変更するというのは、アメリカの「ヴァージン」というレーベル独自の考えである。
ラッセル: 現地へ行って直接顔を合わせて感じていることを説明したんだ。マードックは極めて直接的だったのを覚えているよ。怒鳴って椅子を蹴っ飛ばして顔を殴って。マードックの演説が激しかったもんで、アルバムの販売計画は25,000枚から50,000枚になり、俺たちがCDをリリースする直前には彼らが店への出荷を決定した枚数は75,000枚になっていた。
マードック(皮肉っぽく): 奴らが持っていた展望には…すごく励まされたよ。預言者と働くみたいだった。ああ、75,000枚。まじでか? すごいじゃないか! 奴らを突っつく時はいつも、25,000枚ずつ上がった。だがそれでもまだ足りなかったんだ。
ラッセル: みんながみんなそれと同じくらい成功するだろうと本当に思っていたとは思わないさ。アメリカでCDが販売される前の週に、アメリカの青年に「十分なアルバムを用意したって、本当か?」と電話をしたのを覚えてるし、彼は俺にこう言ったのを覚えてる。「ええ。全て順調ですよ、ホブスさん。梱包を完了しました」。そうして起こったことは、アルバムがリリースされた最初の週に、ゴリラズの在庫が尽きたということだった。
マードック(ぎょろぎょろして): そうだ! 俺はイギリスから飛んで、アメリカへ行き、空っぽの倉庫にその男をみつけて、「そう言ったじゃないですか」という奴の前にただサインを掲げるしかなかった。
ラッセル: でも俺はアメリカだけで最初の週に150,000から200,000枚くらい売れたはずだと思うよ。そしてレーベルはこんなだった、「これは夜逃げするつもりだな!」
マードック: 全てのCD会社が重力を再発見する、頭に落ちて来るりんごの音。「エウレカ」は風呂の外に落ちる水の音として聞き、車輪は丘を転がり落ちる。ヘッドラインには「真実はすぐ目の前にある」と書かれた。真面目な話、ガキに指を電子ソケットに乗せずに教えるみたいだ。「俺は何度も言ったろ!!!」
2D: だから本当にすごいことなんだよ。
2001年6月19日 『ゴリラズ』アメリカにてリリース
ビートルズの追憶の場面で、家族が一晩ニューヨークのCD屋の外でキャンプするというものがあった。子ども達は棚から離れてホースで水をかけられなければならなかった。暴動を抑えるために警察はウォルマートに呼ばれ、スーパー・デニーズ・クラッピー・リトル・レコード・スクワットにて争いが勃発した。それは草むらの火事のようで、ゴリラズは中心で、より明るい、まさに燃料でほとばしっていた。
NYPDの警官、サージェント・ジム・イグナトウスキー: 我々は山ほどの熱中症の少年の相手をしなければならかなった。道端で倒れる少年が大勢いたんだ。彼らはサインの列に並んでいる間ゴリラズの衣装を着ており、明らかに熱を上げていた。
ある子どもは目に見えてCDケースを見ただけで燃え上がった。このCDに伴う評価は、えー…等しく活気づいていた。
2001年9月27日、ローリングストーンはそのデビューを「ヒップホップとエレクトロニカ、ロックとダブのミックスが、この夏のビルボード・チャートに上る最も風変わりなアルバムのひとつ…嬉々として心に残りやすいポップソングを引き立たせている」と評し、ゴリラズを「アートポップをひねり潰すタイプの…組み立てられた、カートゥーンの、アンチ・アイドル」と呼んだ。
その年の1枚のアルバム、その音楽にちなんで名付けられたスピンは、ゴリラズは「アーチーズよりもかっこよく、バナナ・スプリッツよりもイカしていて、そう、D12以来、最高のカートゥーン・ポップ・プレーヤー」だったと発表した。彼らはその年最高の新しいバンド・ゴリラズを、ゴリラズが言うことには「バックパッカーの色鮮やかなコラージュのヒップホップと、ブリッドポップのバラッド、ジャマイカのダブ」を作り続けた。
空白のページはこう投げかける。「弁当箱の中で爆発した音楽の手榴弾のようだ。」
興奮した雑誌は「ゴリラズのデビュー程革新的で興味深いアルバムが現れることは滅多にない」と熱狂した。
マードックは心から同意した。
マードック: ゴリラズのデビュー程革新的で興味深いアルバムが現れることは滅多にない。
ヴィレッジ・ヴォイスだけは要点を失ったようで、2001年7月10日のその紙面で次のように述べている。「1年以内に全ての企画がロンドンの懐かしいただの一時的な音楽に終結するかもしれないし…彼らは初めての土地で価値のあるものになったことだけではその価値と対等にはなっていかないだろうが、破壊活動が目的の男女のグループを含む日々のたくさんのバンドにとってはその価値に値するんだろう」
マードック: ああ、それでドクター・ヴォーツェルは今誰かのタイプライターを盗んでいるんだな。「初めての土地で価値のあるものになったことだけでは対等ではない?」 何のことを言ってるんだ?
しかし、ヴィレッジ・ヴォイス以外にも、ゴリラズ・バンドは波乱を起こしているようだった。
ラッセル: 彼らはただ俺らが行きたかった道の全容を理解しただけだと思う。アメリカで火が付くのはめちゃくちゃ早かった。つまり、それは「本当に」燃え上がったんた。ゴリラズの全てのために電話が鳴りっ放しだった。彼らは俺たちが与えられるものをできるだけ多く欲しがった。
マードック: ラッセル、お前が探している単語は「爆発」だ。
楽曲のリミックスの申し出は、金の生るゴリラズを探し出すレッドマンからブロンスキ・ビートまで全て、ゴリラズのところまで溢れ始めた。ノベルティの草分けの最前線では、ゴリラズに広告の依頼か、あるいは飲み物や腕時計、タンク、かんじきから、エッグタイマーやハリー・ヒル、バズーカ、潜水の留め具まで、日を浴びる全ての製品に名前を載せてくれるよう依頼した。他にはない魅力的なこのグループにとって、おかしい、不相応である、と思われることはまるでないようだった。さりげなく、しかし大変断固として、これらの申し出は断られた。
マードック: 一度ブロンスキ・ビートのひとりの顔にランプの柄を投げつけてやったぞ。でも音楽は何もなかった。ただ奴らが叫ぶ音が鳴っただけだったな。読んでみたら、奴らは俺の次にカバーする使えない歌やくだらないことについての動揺を語ってた。で、俺は拾い上げたのさ、この肩肉と…ぴしゃり! ノックアウトだ。
2D: みんなまじでゴリラズのバナナに行ったよ。
大きなラッセル: ニューヨークのタイムズ・スクエアに俺たちの顔の30フィートくらいのポスターの看板(バナー)が貼られてたんだ。多分全く地元のものじゃないとちょっと気付くんだろうな。俺たちは最初の週、3,000…4,000のラジオ局に喋らなければならなかった。電話は熱烈だったよ。
マードック: アメリカのラジオは変わってるぜ。人間にとって全く異常なカトゥーンに電話で喋り負かすという考えを俺は思い付きもしねぇ。奴らは全ての種類のスタッフを愛していた。俺は電話を取り、生放送ででっちあげを話し始め、局全体を爆笑させた。時々、奴らは笑い過ぎて、番組を途中で切り上げなけりゃならなかった。
ラッセル: 俺たちはアメリカでたくさんのラジオスタッフをした。イギリスでもいくつかしたが、アメリカでは彼らは本当に俺たちと話をしたがった。世界中のリアクションは場所場所によって変わるんだ。ドイツではバンドとしてのゴリラズは全く受け入れられなかったが、楽曲は本当に人気だった。そして動画も。だけどアメリカときたらおい!! 全部を受け入れやがった。
マードック: 俺の手はサインをしただけで、エア遊具みてぇに膨らんだぜ。
アメリカ側では、間違いなく素晴らしいコラボ相手に比較的受け入れられることのない彼ら自身の権利において、ゴリラズはエンターテインメントの新しい形として見られた。バンドは、どこからともなく爆発した、超人的な音楽の力のようだった。
配線を切られていなければ、アメリカの総体的な話は10トンもの重さで床を打っただろう。
2001年6月25日 アメリカのチャート入りしたアルバム『ゴリラズ』、最高14位
この全てが驚くべきものだったが、本当に正しく素晴らしいのは、ゴリラズがアメリカでひとつの生ライブも無しにこの全てを成し遂げたということだ。このことは、とあるバンドが無益で果てしない打撃の年月とあらゆる僻地で演奏することとアメリカが用意できるトイレの場所をもって、アメリカを壊すことができるだけの全ての神話を吹き飛ばした。
ゴリラズはこれらの全てをクリアした。デビューアルバムは世界中で600万枚を超えて売れ続けている。
マードック: んんんんろっぴゃく…まぁぁぁん。めちゃくちゃすげぇことじゃねぇか?
マードックが国際的な優れたスターの地位に、自分の権利を守っていたように見える。新しく獲得した鮫肌の日程表は、アリス・クーパーとイギー・ポップとゴルフをする招待でいっぱいだった。同時にだ。しかし19番ホールは待ってくれるだろうね。ゴリラズは新しいシングルを出したのだから。おい! ストーリーボードが描かれ、それに使った鉛筆を削るミスター・ヒューレットよ。
メモ ---------------------------------------------------------------
anti-boy-band : 「boy band」は、楽器を演奏しない、顔のいい男の子4~5人のバンドのこと
the golden touch : 金運のあること。ギリシア神話のミダスが、触れたものが何でも黄金になってしまうことから
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