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ゴリラズ伝説

ライズ・オブ・ジ・オーガを趣味で訳しているブログ

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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド: ロンドン・スカラ

マードック: なぁ、俺たちが「クリント・イーストウッド」のPVで戦端を開いたとはわかっていたが、本物のバンドか? 他のみんなはライブに出るだけでいいんだ。俺たちもそこに出て行かなくちゃならないし、証明しなくちゃならねぇってことはわかっていた。カムデン・ブラウンハウスの演奏もひとつだが、俺たちは生きて息をしている観客の前で、筋肉を動かして、俺たちの「ロック」への憧憬を集める必要があった。

従って、2001年の2月のレースには、コングからこっちバンドに休息を与え、ステージ用に仮面を使う用意をし、また、優待招待客にライブの初公演の優先鑑賞をしてもらうためにも、ロンドンはホロウェイ・ロード区にあるデポ・スタジオに1ヶ月間のリハーサルの予約をした。「俺たちはお偉い評論家の前にふんぞり返ってただけじゃないぜ」。

2001年2月27日 デポにて初リハーサル

複雑なステージショーは、背後でゴリラズの4人が演奏し、それを純白のシーツの上に投影するという独特なデザインのビジュアルとグラフィックで工夫された。その意図は、不吉な作り物の姿を投じる表現豊かなシルエットとなったゴリラズに見ることになった。

マードック: ああああ…幽霊バンド!

ヌードル: 私たちがスクリーンの裏で影と輪郭を映している間、みんなパブリックイメージがどうなるかってことに好奇心でいっぱいだったし、私たちはパブリック・イメージ・リミテッドの80年代初頭のニューヨークのパフォーマンスのオマージュだなと思ってスクリーン上の投影を見てた。

フルカラーアニメはいまだにすっかり彼らのシルエットで見られている。

マードックは、ドルチェスターでのデスティニーズ・チャイルドのランチパーティを加えた、ブリクストンでのミッシー・エリオットのパーティも含む、首都周辺の様々な来賓名簿を強奪するために、夕方2Dと時間を作ったロンドンでのリハーサルの強みを最大限に使った。

マードックは新しい名声で金を稼ごうと目論んでいた。

マードック: 俺は35年間サインの練習をしてきたもんで、上手く目立つように書けるぜ。すごくなめらかだろ? そして今では人々は、俺が考える「オーケー、お前たち。俺は偉大な魔法のしるしを掴むだけだ」という俺を認識し始めた。

それからマードックは、強大な洗濯婦の商業チームを連れてきて洗いたくなるような、とても汚い笑い声を発した。

2D: 開いているドアのどこにだって行けた。そんなおもしろさだ。みんな俺が来るのを見たら締め出したものだったのに。

2001年3月22日 ゴリラズはロンドンはキングス・クロス・スカラにて演奏する

全てにおいていまだにメディアの大きなドッキリかもしれないという慎重な疑いを浴びせたとは言え、「クリント・イーストウッド」はチャートの上位にランクしており、一般受けはゴリラズの方に傾いていて、もしルックスで採用されたのなら面汚しな観客から価値など得られなかった、ホクストンの酔っ払いの一団によって最後まで演奏された。

その上、シングル曲とPVでかなりの喝采を集めていたことは、他の地域の批判に対して広く開かれた。

マードック: ああ、太陽の届かないところのものなら全て突き刺せるんだぜ。ギミックである俺たちを非難するってことは、「ちょっとしたメサイアコンプレックス」を持っているキリストを非難することに少し似てるな。多分マジだが、俺たちが見せた間違いない才能を目の当たりにしても、本当にまだ問題があるのか?

スーパーモデルのヘレナ・クリステンセンやサディとジュード、ザ「アント-オア-デック」、クラッシュのポール・シムノン、そしてテレビのお気に入りのぼさぼさ頭のゴブスミス、「ジョナサン・ロス」らも含む多くの注目を集める出席者のために、ライブは開催された。

マードック: 多くの有名人が降りてきて、演奏中の若き神を覗き見ようとした。だが俺たちはスクリーンの裏だったろ? だから俺のケツの影にキスできるぜ、「ミスター・ジョナサン・ロス」。

ラッセル: 実際にミスター・ロスはある日からいつもゴリラズに協力的だったから、そこに彼がいたことはいいことだった。

マードックはたじろいで一呼吸してから以下の通り加えた。

マードック: 教えてといてやるが、俺はP.I.L.が好きでも、そのスクリーンで俺の道を切り開いただけだし、ひどい観客の顔面にもろに俺の太く毛深い「ベース」を押しつけただけだ。それは奴等を完全に黙らせた。

家の照明が落とされた時、マードックはひと組の黒人の美女に素早くキスをした。バンドは「M1 A1」の前奏を切り裂いて、デビューアルバムの150デシベルの演奏を最後のひとしずくまで続行した。それは、正面の机に精神の全てが囚われている酷く酩酊状態のブライアン・イーノとディーヴォによって、ラバダブ風に演奏されたザ・フーの「ライブ・アット・リーズ」のようだった。

マードック: 本当か? …その録音ってもらえるか?

会場の受け付けは大騒ぎだったが、バンドの楽屋はとても落ち着いていた。それは、ゴリラズの技能をフルに発揮するため、スタジオの外に彼らを連れ出すため、メインステージへ上げるために、たくさんの素晴らしい偉業が彼らの前に待ち受けていることを示した。

マードック: 実際、くだらなくもあったんだ。個人的には俺たちはその晩、襲撃者を演じたと考えていた。俺は丸1週間寝ずにどんなにかゴリラズが素晴らしかったかを俺が目の当たりにしたかをみんなに教えて祝った。

2D: 翌日、ある雑誌に、「2D:『テナガザル』大きなそれ」と書かれて俺の写真が載ってた。一体全体、どういう意味なの?

マードック: ああ…あー、実際それはかなりいいな。ゴリラズ:「テナガザル」大きなそれ。俺にはそこでしたことがわかったぜ。

2D: わかんない。

スウィーティ・アイリ―とミドル・ロウの一味が聴衆に投げた20ポンド紙幣の土砂降りの下、イギリスでヒットした彼らによる「クリント・イーストウッド」のガレージ・ミックスのパフォーマンスと共にその夜は終わった。

全てが全て、ファーストライブにして悪くなかった。翌日の新聞はやや太っ腹であった。

NMEが「彼らの一番の働きは、スーパースターのエゴの否認の成功例である」と推測している間、ザ・タイムズは「冷たく情操教育を妨げる品質」を持つこの演奏を非難し、このボーカルは「へたくそでおかしな裏声」で歌ったと書き留めた。

ガーディアンは、ゴリラズはデーモンの豊富な経験となるちょっとした悪ふざけだったと示唆した。

インデペンデント・オン・サンデーの記者の、ある丸々と太って胸を張った、ピエロのような髪型の変わり者は、ゴリラズを「詐欺未遂」と呼び、「2003年のある日、アルバーンは目覚めると、不本意にも恥ずかしい記憶に胎児のように体を折り曲げた」と示唆してデーモン・アルバーンに対して特に酷く攻撃した。

身内だけで演出された初めてのフルのライブのへのそのような攻撃は、恐らくやや強かった。

マードック: おかしなことに、それ以来、彼のゴシップコラムがしぼんでいく間に腹の出た無能が今のサイズにまで膨らんだ。恐らく奴は実際に自らの言葉を飲み込んだんだろう。

2001年3月26日 ゴリラズのデビューアルバムがリリース

マードックの4日間に渡るライブ後の打ち上げは、ストークの分別ある若者の感情が入り混じった日だった。ゴリラズのアルバムは全国的に発売されたが、悪い面では移動式売春宿であるマードックの大切なウィネベーゴがコングスタジオの駐車場から盗まれた。

マードック: それで、販売戦略として、いくつかの輝かしいCD屋がアルバムに無料の鍵をつけようとひらめいた。鍵を受け取った者は俺のウィネベーゴを開けられるんだ。「俺の」忌々しいウィネベーゴ。予想通り、それは30分以内になくなった。消えた。そんで聞いてくれるか? 俺は盗んだのは変人のドクター・ヴォーツェルだと考えてる。

なるほど。ドクター・ヴォーツェルとは?

マードック: 頭にくるぜ。奴はゴリラズに対して何もしていないにも関わらず、俺たちがバンドを始めてからずっとクソだ。奴のことはドクターだということとヴォーツェルだということ以上に詳しくは知らない。奴に従うネットオタクの軍隊を持っている。奴が俺のウィネベーゴを盗んだ時、ちっぽけなオタクたち全員が、コングスタジオじゃないどこかで俺のウィネベーゴを運転しているヴォーツェルの写真を投稿した。ビッグベンのてっぺん、デス・スターの上、ケントの湖の中、忌々しいケーキの中で焼かれて…神よ。本当にイライラする。「俺の」ウィネベーゴ!

「マードックのウィネベーゴ捜索」は、ゴリラズのサイトに毎日更新される、新鮮でエスカレートする、さらに奇妙な注目の的と共に、ゴリラズのネット上のファン達を通してウイルスのようにさっと熱狂を拡めた。ドクター・ヴォーツェルもまたそれ以降、ゴリラズの初撮りの「ゴースト・トレイン」を密輸し、当初のギタリスト、ポーラ・クラッカーがいる頃のゴリラズの初期のメンバーの画像をインターネットに流していると噂された。彼はその両方を、盗んだウィネベーゴからみつけたのだ。

マードック: このレコードレーベルがアルバムにつけて鍵をプレゼントしなけりゃこんなことは起こらなかったんだ。つまり、くそっ! 真面目な話、どんだけ厚みがあんだよ? 車の鍵をセットにしてプレゼントするってのは。エルトン・ジョンでそのくそみたいなセットを引いてみろよ、お前よ。お前が当たるのはどれくらいか見てみろって。

マードックはひと息つき、移動式の家を失ったことについてまだ腹を立てている。

マードック: 実際、それは本当に、あっという間に俺を怒らせるのには大成功だった。既にドラッグストアでカフェインのタブレットの大袋を買って、古いウィネベーゴを使って、イギリスを縦横するツアーをして、全てのシングルが「チャートに返り咲く」可能な限りの店に赴く計画を朝6時から立てていた。ひとたび古い移動式の家が盗まれ、そして…俺はタクシーを使わなけりゃならなかった。

マードック・ニカルスは借用証書の書き損じが尽きる前に、なんとかして自身のアルバムを少なくとも17,500枚は買おうとした。しかし、まだその作業を続けている。

2001年4月1日 ゴリラズのアルバムがイギリスのチャートにランクイン

ゴリラズのデビューアルバムはイギリスのチャートの3位にランクインし、ゴリラズを過たずスターにした。アルバムチャートですって!? それはガンズ・アンド・ローゼスとサバスのような大きく確実なバンドが成し得たタイプの事柄だ。今、ゴリラズが彼らのランキングの中に仲間入りした。

ラッセル: これからは音楽が少なく多くのインタビューを受けるということをやめる。だが俺たちは求め続ける…誰が文句を言える?それが俺たちの今の転がり方なんだ。

マードック: 違うな友よ。お前は実際に丸いからな。それは「お前の」今の転がり方だ。


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クリント・イーストウッド

「行けパンク…俺の時代を映して」

「トゥモロー・カムズ・トゥデイ」のPVで予期される可能性を発揮し、ゴリラズは今、もっぱら今や根源になっている「クリント・イーストウッド」のPVでゴリラズの勝負を取り上げているプレミアリーグへ近付く準備をしていた。

彼らがそれから16週間以上を費やして制作したものは傑作に他ならなかった。

デイズド・アンド・コンフューズドの事務所での事件にも関わらず、彼らは先の相棒、ジェイミー・ヒューレットを再び借り受け、手元の仕事について話し合った。「どうやってゴリラズのPVの最も素晴らしい前例を創ろうか?」

マードック: 実のところ、俺たちが口を挟むタイプのことじゃまるでなかった。

初めのうち、ゴリラズは単純にパフォーマンスする部分を撮ることが重要であると提案した。これはかなり月並みな考えに聞こえた――マードックがコングスタジオの悪名知れ渡る幽霊の出る墓場で真夜中に射撃をしたいと漏らすまでは。

PV撮影はマードック・ニカルスがオッズを上げることですぐにバンドのプロモーションからチキンレースへとエスカレートした。眼に凶悪な光を浮かべて、マードックは漏れなく墓場でひと晩かけてバンドと撮影スタッフの両方に挑戦した。

マードック: 「お前たちが夜明けまで待っているなら続けられる。できる全てを映せ、長い夜になるぞ。」

2D: なんでそんな海賊風に言うのさ?

マードック(手のひらを上に向けて): もう少しおっかなそうに聞こえるかと思っただけだよ。

このPVはジェイミーによって、カメラの動き全てから照明やデザインまで失敗を許さない驚くほど緻密なストーリーボードで説明された。そしてバンドによって忠実に実演されていった。パッション・ピクチャーのチームはさらにCGの映像と効果を加えた。(コンピューターによるCGの役割。ええ、見たことがありません!) 「クリント・イーストウッド」のPVは、完成までの4ヶ月に、5,000枚を超える原画と25名の人員を要した。

マードック: おっと。見ろよ。アンドリューがおでましだ…

パッション・ピクチャーズのアンドリュー・ルヘマン: そうだな、「クリント・イーストウッド」は突破口だった。「トゥモロー・カムズ・トゥデイ」はみんなの目の前に踏み込む試作品だった。できるだけお金をかけないようにしよう、ちょっと市場を試してみよう、そうして「クリント・イーストウッド」は全てをふっとばしたって感じだった。私は『Mr.インクレディブル』を制作した偉大なる英雄、ブラッド・バーからメールを受け取った。それにはこう書いてあった――「素晴らしい、皆が2Dアニメーションは廃れ3Dアニメーションが台頭していると言う中、現代的で新鮮に見えるこの質と様式の2Dアニメーションを観ることはなんと素晴らしいことか――と、言うようなことを目にすることにはただただ勇気付けられる。」私たちはバンドの成功のためにできる全てのことをしたのだとわかった…勝ち残るために、私たちだけの質の高いデザインを凝らし、質の高い音楽を投入したからだ! 挑戦できるところまで昇り詰めたと感じたし、チームの努力を合わせた時、それは素晴らしい挑戦だった。そして、「クリント・イーストウッド」は私にとって大きな素晴らしき思い出となった。

マードック: わかるぜ。残りの世界が俺の視界全てを支配し始めるところだった。このPVはとても信じられねぇ!

2D: 今でもこの映像は俺の背筋を震わせるよ。全てを変えちゃったんだ。

ラッセル: ぜぇぇんぶだ。

黒地に赤のスプレーが、不吉な予感に至る『ドーン・オブ・ザ・デッド』を連想させるようにゴリラズのロゴを描く。

「生き残りを除く死体の全てが起き上がり殺しにくる。それらが殺した人々もまた、起き上がり殺し始める。」

既に我々はもはやカンザスにはいないことを知っている。ジェイミーもPVを60年代の西部劇風にするために、イントロに少しだけボーカルを加えることを2Dに頼んだ。ラッセルが激しくドラムを蹴る間に、マードックの深いしわがれ声のバリトンの笑い声がつんざく。おおおお、とてもすごく雄々しいですね。

比較的直線的なスタジオのセットでのオープニングでは、カメラの画面からはみ出ている床からせり上がるステージにゴリラズの4人が現れ、そうして互いに中へ外へ動き回るバンドの演出を与える。暗雲とゴーストラッパーの出現を引き金に、この素早い変化は、青いインクと黒いカラスの不気味に切り替わる映像へと変わる。我々は今、コングスタジオの墓場にゴリラズと共にいる。

次の3分間のコースの至る所で、我々は滑稽なあの世の彩色技術の容赦ない連続攻撃に直面し、サルのゾンビと地震と雷とラップをする幽霊と格闘技の出現を目撃する…

2D: 俺たちがそこでしたことは、まじで何とも言えないんだ。

ゴリラズの存在は墓地に埋葬された死なないゾンビの軍隊を目覚めさせた。大地が割れ、厚みのある毛深い腕が突き出し、脚の間のマードック自身を鷲掴む。

2D: マードック、地面から猿人が飛び出てきて君の玉を鷲掴んだこと覚えてる?

マードック: ああ、覚えてるさ。すごくよくな。そいつは俺の玉を強く握り潰し、俺は数週間喘ぎ声が止まらなかったんだ。

霊長類のゾンビはとつぜ…

マードック: 嘘じゃねぇぞ。メロンみてぇに腫れ上がっちまってよ。でけぇ紫のメロンだ。

霊長類のゾンビは突然、演奏に合わせてマイケル・ジャクソンの「スリラー」に出てくるグールのダンスを踊り始める。

無駄な野営地のゴリラである猿人の1体が、特徴ある振り付けの一部がいつも含まれている長年の「彼女の」役目を教えてくれた。ややかすれたニューヨーク・ユダヤなまりで、一軍のヘッドであるフローレンスはさらに次のように説明する。

フローレンス: マイケル・ジャクソンの「スリラー」のPVの模倣であるはずだと皆考えているが、娘と私は思い出せる限りの長い間この役割で踊り続けている。私たちは全ての「死なない猿人ゾンビの群れ」に、50年代への帰り道の合図を触れ回っていた。

どうでもいいですね。

ヌードルは不気味な墓場の襲撃者を、飛んでいる大きなチンパンジーにお見舞いする、素早く小気味よい顔面への蹴りをもって処理している。朝日の最初の欠片が到達することによって、夜の恐怖は全て次第に塵となって消えていく。

マードック: この墓地では奇妙なことが起こったと言っただろ。撮影をするにはすごく良い土地なんだが。

バンド発足以来、他の何よりも勇ましい「クリント・イーストウッド」という一連の動画は、待ったなしで全世界の人種に、ゴリラズの闇、栄光、活き活きした魅力を紹介した。これまでにした旅行の10年分より、ゴリラズの宣伝をすることの方が、地球を震わせ本物の地震を引き起こす程のインパクトがある。

もうひとつ、ジョン・オ・グローツの南の全てのクラブのダンスフロアにゴリラズを激しく植えつけた、エド・ケースとスウィーティ・アイリーによる気の利いた上手いガレージ・リミックスによっても成功のはしごを押し上げた。産業のなかにあるもうひとつの珍しさ、本当にクラブでヒットするリミックスとは実のところ、その誕生の確実性の結果である。

マードック: ゴリラズはスウィーティやエドにリミックスしてくれなんて頼んじゃいねぇんだ。ザ・ミドルロウ・クルーと名乗る曲刀を振り回す悪い海賊の下品な連中によって、マスターテープがコングから盗まれたんだ。

獲物を手に入れて、彼らはスタジオに引き上げ、リミックスし、それからゴリラズという一味の知識を公開した。

冷酷で極悪なギャングと切ることのできない相互関係を築いているマードックは、彼らの豪胆な行動力を称賛し、楽曲のリミックスを承認した。懸命な動きだ。リミックスが全てのクラブを湧き立たせるようおおいに扇動したことを特別に考慮すると、ゴリラズの表面上の不良という印象をさらに高め、オリジナルバージョンを手に入れられなかった観客にも届いた。このリミックスはそうして公式の「クリント・イーストウッド」のリリースに含まれるようになった。

エド・ケースのふたつのステップのガレージ・ミックスと共に、ゴリラズは、緑の谷のどんなに懐かしい郷愁やミルクティや縦縞のボート用ジャケットよりももっとイギリスの鼓動に合っているということを見せつけた。

2001年3月5日 「クリント・イーストウッド」シングルリリース

2001年3月11日 「クリント・イーストウッド」チャートに最高で3位をランキング

ポップカルチャーにおけるこの画期的な出来事は、14週間チャートに留まり、PVとCDの両方がイギリス、ヨーロッパ、及びアメリカで多数の賞を受賞していった。

ラッセル: みんなの考える普通からすると、これは本当にでかいCDだった。俺たちはイギリスだけで750,000枚くらいCDを売った。イギリスでのこの成功は、国際的には俺たちにとって全ての始まりに過ぎなかった。

このリリースと共に、ゴリラズは、1950年代より後のティーンカルチャーの誕生からバンドというものがしていないこと、つまりは子どもやティーンエイジャー、野性的なひと、熟達したひとも同様に引き寄せ、全てを包括し全てを魅惑するために管理・経営した。

いくらかジェネレーションギャップが縮まると、皆が鋭さと展開の速さと素早く切り替わるアニメーションを楽しんでいる間、音楽好き達は、酩酊状態を渡る気だるげな子守歌のボーカル、良き時代のラップの、いかした猫背のダブ・ボーイを掘り下げた。このコンビネーションは冒険的な展望と、解放された真の情熱を古い学校の様式に示した。

部外者の意見を言っているのではない。それは単純に独創性の外で、信頼と尊大さと親切なアプローチをもって皆を招待した。

現在のポップの情勢は、機械的なバンドの単純さと抗うつ薬の常習と、どこの馬の骨ともわからない作成途中の将来伝説になりうる全ての若い職人の偽物の魂との間につまらなさを閉じ込めているにも関わらず、誰かの芸術的な実現は、無能にも笑顔を作ることだけで表現できてしまう。

マードック: お前の痛みなんか関係ねぇ。俺を楽しませろ。さもなくば帰んな。

ある音楽産業の成長が停滞することに対する、人生における冷たく新鮮なひと呼吸だった。

ゴリラズは全ての競争に厳しく当たった。その上、世界をまたぐ国民もまたそう考えた。「クリント・イーストウッド」はイギリスのシングル曲が数年間成し得なかったことをした。

アメリカのチャートで的確に影響を与えた。


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現実と虚構の境目は音響装置にあり

2000年12月6日 デイズド・アンド・コンフューズド誌にて世界的メディアがデビュー

鞄の中の、彼らのデビューアルバムとPVの両方と共に、ゴリラズは紙媒体攻めという国際的なキャンペーンに次の戦艦を発射した。

情報誌のデイズド・アンド・コンフューズド誌は、レッド・ツェッペリンの…ええと…「幻惑されて(デイズド・アンド・コンフューズド)」にあやかって名付けられたことを元に純粋に選んでマードックが声をかけた最初の地点だった。一部を委任するための、ジェファーソン・ハック編集長の決断だった。

ジェファーソン・ハック: そうだな、スタジオ(コング)に降りて行って、音楽を聴き、本物の風景を背景にしてジェイミーがイラストを描いた場所で録っているファーストPVを観て、その音楽が好きになって、そして表紙にしましょうと思った。

マードック: 正解だ。

写真撮影のため、マードックがジャーナリストのロジャー・モートンも含んだバンドメンバーをボクスホールアストラに突っ込み、時速90マイルで進む道中で一時休憩を指示しようと決める前の初めのうちは、インタビューはコングスタジオで行われていた。マードックが道すがら、レディオヘッドやビリー・オーシャンを糾弾する、オアシスやリンプ・ビズキットからブリトニーやクリスティーナまで、こんにちの全ての他のバンドをこき下ろしていつものやり方から外れるのは、猛スピードに走っている間のことだった。マードックは「配管工のケツの方がまだファイブよりイケメンだろ」という宣言と共に締め括った。

特に外見は優れてもいなければ変わっているわけでもなく、創られたという点。ゴリラズは異なる地から来た異なるバンドだった。

写真は、東ロンドンはオールド・ストリートのデイズド・アンド・コンフューズドのオフィスで撮られたのだった。

撮影もまた、その騒ぎ無しには済まなかった…

ラッセル: 俺たちはジェイミー・ヒューレットに、スタイリングについて降りてきて手伝ってくれと言った。だがあんたが言ったように、ヒューレットは少々トラブルメーカーであることで知られていた。俺たちが帰った後、何が起きたかは知らないが、ジェファーソン・ハックはお幸せではなかった。

ジェファーソン・ハック: ジェイミーは私に、もし俺がしたいなら、もしラッセルが壁にバーガーをなすり付けたなら、もしマードックが部屋の向こう側にテレビを投げたなら、と訊いてきた。それから、ええと…私は本当にジェイミーが続けていることについて知らなかったもんで、十分な注意も払えなかった。でも翌朝私が入って行った時には、壁になすり付けられたバーガーがあり、部屋の向こう側に投げられたテレビがあって、私は大変遺憾だった。

しかしながら、モートンのゴリラズに対する印象は、目に見えて期待通りのようだった。

バンド間の持論の変わり映えしないつまらない長話の後、寝ている間に2Dの耳に火のついたたばこを刺そうと企んでいるマードックと共に、バンドはあくせくとアルバムを演奏した。最初の反応は良かった。ロジャーはこのアルバムを次のようにくくった。

「可能性のある要約であり取捨選択する新事実である種無しボンゴは、ポップに鎮魂と追悼を同時に反復演奏した。いいや、本当さ。『スロー・カントリー』は浮かべる。『トゥモロー・カムズ・トゥデイ』は踊り出す。『M1 A1』は懐古的虚無主義を分ける平坦な道を走る。ああ、まったくだ。再度録音した反響して鳴り響く、ゾンビを捕えているそれは、ニューヨークとキューバを経てクローリーからキングストンまで一線を画し、パンク・レゲェ・ポゴを奏でる間を綱渡りをする。」

「スヴェンガーリが取り憑いた黒魔術を操るベーシスト、鎮痛剤中毒でその人生には欠落があるボーカル、ヒップ・ホップの巨人ドラマー、たまごっちとロックが好きなギタリストという4人の組み合わせは、100万をもたらし、999,999回という誤った速度でスカンク・アナンシーに会える。ゴリラズのデビューは100万回に1回の例外だ。」

モートンが音楽を聴いたことに満足したマードックは、ゴリラズが「最高だ。他に誰がいる? ゴリラズは音響装置の中にある現実と虚構の裂け目であった。」ということを誇りにし続けた。

マードックはどういうわけか、9歳の時に給食のおばさんで童貞を失いそれからずっと不機嫌なんだと触れ回りもし続けた。

マードック: 初のインタビューで俺たちは自分らのブースを出したんだ。俺たちは自分たちのことなら何でも言ったし、自分たちに反することなら何でも言った。俺たちは手袋を投げたんだ。

偉大なるロジャー・モートンの評価はこうだ。「全てのものが虚構な複製である世界、想像力豊かなものは一切無い世界、宣伝が宣伝を呼ぶ世界、温かみのない産業的な有名人の世界において、『想像』がその想像上で崩壊し始めることは避けられない。」ロジャー・モートンは、音楽が思い起こされる感傷と、またそれにより信じるに足る大きな刺激をもって締め括った。

マードック: 奴がそんなに長々と喋ってたなんて知らねぇが、それは問題じゃねぇ。奴は音楽が好きだったし、仕事もそうだ…

2D: 彼は主に唄うことが好きだったんだと思うよ。

マードック: お前の幻想だよ、能天気。

デイズド・アンド・コンフューズドの制作は、ゴリラズのしっちゃかめっちゃかな世界に、多くのものを含んだ紹介として提供した。ゴリラズの姿勢と意志と野望を。

しかし、口はひとつです。今、すてきな大きなズボンをお見せしましょう。

きちんと後ろ盾しなくては。



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獣の解放 - 明日は今日来る

「俺たちはぎりぎりまでひきしぼって…解き放った」ラッセル・ホブス

契約され、販売されて、出荷されるアルバムと共に、ラッセルとヌードルはゴリラズのファーストPVのためにイギリスのディレクター達のもとへ戻った。一方、マードックと2Dは休息とクールダウンのためジャマイカにとどまった。しかしながら、マードックの悪ふざけは逆に燃え上がった…

マードック: ココヤシの木に登って自分のやり方を磨きながら、マリブの瓶を探していたら落っこちたんだよ。背中から落ちて、CDを何枚か滑り落としちまった。俺たちはPVを撮るために次の日飛んで戻ることになっていたんだが、もう少しでキャンセルしなけりゃならないところだったぜ。

ああ、はい。「トゥモロー・カムズ・トゥデイ」のPVに先駆けて…

ゴリラズのファーストプロモーションビデオのためにディレクターとの電話が切れた時、ゴリラズのそもそもの話によると、「みんなの耳にはっきりとひとつの怒鳴り声が返ってきた。声の持ち主は名をパウロ・スキンバシオといい、作家で、現代の伝説的な映画作成技術『四柱式フレーム』の発案者である。伝説のイタリア人ディレクターは、評論が公表されるに従って、古い『Boom Ho-Lio(My Mind and Her Mother)』や『Stop Now』といった、当時のラテン映画の中の目立つようなものに埋もれていった。」

これらの映画が全く現存していないことは事実だ。78歳のパウロは人生において一度も撮影をしていない、口だけの初心者だった。混沌が舞台セットの最高権力を支配し、ミスター・スキンバシオが撮影したPVはレコード会社の事務所の外のごみ箱の中で初公演を行った。

マードック: みんな、少しボケてるだけで変わってはいるが天才なんだと騙されないように、かなり気を付けなけりゃならなかった。

ラッセル: 実際、その男は一度もカメラを持ったことすらないヘタな道化師だった。

ヌードル: うん。完全にいかれてたよ。

そんなわけで、彼らの特徴を隠す厚い灰色の毛布という夜の闇に紛れ、ふたりの男、ジェイミー・ヒューレットとマット・ウェイクハムがコングスタジオの中にこっそり入れられた。これは現在精神病でぶつぶつ文句を言っている完全武装のスキンバシオにバレるのを避けるのために重要なことだった。野放しで、誰かがスキンバシオの仕事や「子ども」、「傑作」、「原作」に手出ししようものなら、激怒して犬に八つ裂きにさせた。これがたくさんの理由から危惧されることである。第一に伝説の「イタリア人」ディレクターが現在ドイツに出かけている最中であること、第二にそれが翻訳アプリの「バベルフィッシュ」による翻訳程あてにならないこと。完全明快に最良に進めよう。

そうして、創作漫画家で、ハードカバーの漫画の女性キャラクター、タンク・ガールの共同制作者である、地元のトラブルメーカー・ジェイミー・ヒューレットが、歴史の折り返しからPV作成の発起人を救うために連れ込まれた。ヒューレットはPV作成の経験はなかったのだが、彼の親友で一時期は一緒に暮らしていたこともあるデーモン・アルバーンはジェイミーの名前を挙げ、この仕事にふさわしい男だというデーモンの直感は正しかった。

デーモン・アルバーン: この仕事にふさわしい男だよ。

え…はい、そう言いましたが。ゴリラズは初めのうち、ファーストPVでライブ映像をかなり使うことになるかもしれないという構成に同意することについて不信感を持っていた。

2D: 俺たちはなにか「カートゥーン・バンド」みたいに現れるのは経歴的に少し早過ぎるんじゃないかとちょっと思ったんだ。それで以降の動画よりもたくさんライブの場面があるんだよ。

しかしながら、少しの説得の後、考えを変え、ゴリラズとジェイミーの間の創造的な協力関係は強固なもの、世界を揺るがし結果を出すために、次の段階へ進むためのものになった。外見の面においては、ゴリラズの曲を世界中へ向けて売り込むことにおいて、主要な構成要素と代えの利かない財産のひとつとなった。マードックはいまだにヒューレットを「審査中」とみなしている。

マードック: 聞けよ。お前らは今までと変わらないだろうがな。もしヒューレットが先手を打ちやがったら一抜けだ。そうしなければならないなら俺はスキンバシオを呼び戻すさ。

アニメを世に出すことを完全に任せてバンドが口を挟まなかったため、ジェイミーは「トゥモロー・カムズ・トゥデイ」のPV用に裏道や路地、ネオンだらけの歓楽街などのロンドンの風景の場面を録画するためにマット・ウェイクハムを呼び寄せた。ゴリラズメンバーもまた市街周辺の色々な場所で一緒に撮影された。

マードック: ああ、覚えてる。

2D: よくやったよね。

マードック: ナマ言ってんじゃねぇよ、うすのろ。俺は夜の街を背景に俺たちを配置するこの試みのために起きてたんだ。なんとやらは「エロく、鋭く、危険に」と言う。俺の名前をググったら目にする最初の3つの言葉だ。

2D: すごく若く見えるところがいいじゃん。

街並みやウェストウェイ、ソーホー、住宅団地の密集したコラージュは、疾走感や閉塞感、憂うつ、興奮を呼び起こす。このセッティングの産物と反応の両方がゴリラズの特徴となっているようである。

マードック: 俺は先に撮って夕方をオフにした。ソーホーのよさげなバーの荷物置き場に降りて行って、たくさんのガラクタと一緒にいまだに捕まらないでいる。ある意味ではそれは最高の時だった。それからの俺の評判はそれほど大幅にひとり歩きしなかった。

都会の風景に溶け込んで存在するキャラクターを制作する、仕上げの効果を完成させるためにパッション・ピクチャーズという動画会社が選抜されたことがポイントである。

ジェイミー・ヒューレット: 彼らはロンドンにインフェルノと呼ばれる新しい機械を持っていて、その時ロンドンにそれを扱える、静止画と写真と素材とを共に素晴らしく天才的な効果の読み込みができる人間が8人しかいなかった。それにこのインフェルノは、素晴らしく見えるタイミングに写真を捻じ曲げるような、いかれた効果の読み込みを可能にした。だが今は恐らくフォトショップできる…けど当時は…うわっ!

ジェイミーは以前パッション・ピクチャーに勤めていた。

マードック(子どもじみたトランペットの騒音を響かせて): アンドリュー・ルヘマン、俺たちはパッション・ピクチャーズのリーダーからお前に簡単な説明をさせるためにこの放送を中断しているんだ。さぁ、やれよ! どうやってゴリラズに取り掛かったんだ?

パッション・ピクチャーズのアンドリュー・ルヘマン: ジェイミーとパッションが一緒にコマーシャルをすることから始まり、次に実際には絶対に起こり得ないコマーシャルをもうひとつ調整している。広告代理店での打ち合わせから解放された後で、ジェイミーはこう言った。「君にめちゃくちゃ話したいアイディアがあって――俺のルームメイトとの仕事についてなんだけど」 ジェイミーのルームメイトがあの有名なブラーのデーモン・アルバーンだなんて知らなかったも同然だ!
 一緒に座るとジェイミーは、バンド用にこんなアイディアがあって、これらがそのキャラクターなんだけど、どう思う?と言った。私はおもしろそうだねと返した。ジェイミーのデザインは素晴らしいし、興味を抱くに値するどんなアニメーターにも一緒に働く機会に恵まれると思ったしね。単独では難しいだろう――危険な音楽とする作業と、本当に骨の折れる苦労をするだろう――でも、デーモン程の者とする作業と、夢のチームを得ることができるだろう。そして、あるカフェでのジェイミーの一声で始まった。「これなんだけど、どう思う?」

マードック: ふぅん…俺のバンドのゴリラズという名声の、最も最初の段階が、他の「アイディア」になってるなんて信じられねぇ。けど、俺たちが最初から勝ち組であることを証明してるんじゃねぇか?

低予算の動画は全員の信念を強めた。ゴリラズはカメラの前で自然体だったし、メンバーそれぞれのアイデンティティはそれぞれ異なる個性を前面に押し出した。ヒューレットと会社は手綱を離した。

ヌードル: このPVは私たちのシルエットが映ったカバーと一緒に世界中のたくさんのメディアに送り出された。

マードック: ただの影でさえ俺たちを表す記号だった。

2000年12月27日 「トゥモロー・カムズ・トゥデイ」のEP盤がリリースされる

ダン・ナカムラ: 明日とはすなわち今日である、それが全体のポイントだ。明日がすでに来ているように、将来、野性的で突拍子のないものになると想像している全てのものは、すでに来ていて通り過ぎようとしている。この曲はゴリラズを上手く説明するのにいい味を出している。説教なしに挑戦的な考えって意味でね。

マードック: 笑えねぇんだが、よかったらちょっとダン・ナカムラと話すのやめてくれねぇか。

失礼。


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「ゴリラズ」―唄による歌 ②

DOUBLE BASS

9番目の曲は、酔わせるブレイクビート・サイケデリックの、精神が不安定になる1曲だ。ラッセルが優れた才能の片鱗を露わにする。

ラッセル: 俺たちがどうやってこの曲に至ったかは、実のところものすごくおもしろい。俺は最高な小さなもの、端に吸着パッドのついた小さなマイクを、タンディという電気屋で買った。これを誰かの頭の横に置いくと、そのひとの考える音を拾って録音するんだ。彼らが想像していることを文字通り音楽に変身させるのさ。サンプリングにしてみればすごいことだ。

マードック: 俺は2Dに言ってやった。「目一杯咳止めシロップをがぶ飲みして2~3人の仲間と遊園地へ行く、1950年代をベースにしたロカビリーのストレイ・キャッツのブライアン・セッツァーを想像しろ。今ブライアンはリキュールを飲んでいるから途中で具合が悪くなり始めて、その濃くてべたべたする茶色い液体はブライアンにここにはないものを見せようとしている。ブライアンは遊園地と視覚と泡の狂った世界に嵌められた。お前の頭はどんなだ?」ってな。

ラッセル: これが2Dの描いた音だ。俺たちは何も加えたりしちゃいない。デーモン・アルバーンの声以外にはな。休憩のために2Dがどこへ行こうと、俺たちはなにもしちゃいないぜ。

「All of this makes me anxious. At times unbearably so.(この全てが僕を不安にさせる。そう耐えられない程の時間において。)」

2D: 俺の中にはいつも少し「ロカビリー」遊園地があるんだ…真面目な話。父さんはイーストボーンの遊園地で働いてる。だから「ゴースト・トレイン」もまた俺のルーツなんだ。電気ピアノ、アーケード、観覧車、俺の頭はこういったもので溢れてる。アタリっていうゲーム会社のポンていう古いゲームの音についてもなんとなく考えてたよ。

マードック: 少し巻きでいけるか? どれくらいかかるかわかんねぇや。


ROCK THE HOUSE

もうひとつのゴムでできた手足のショー、絵に描かれた幽霊のようなデルによる無気力なラップ、正確なスローモーションの曲を打つ歌詞。金管楽器が刺しスネアが打つ巧みで素早いリズムによって裏打ちされ、ゴリラズはもう一度君たち全員に「とにかくそうしろ」と強く願う。

マードック: くじ引きで俺はこの曲を手に入れたんだ。

ラッセル: メインのブレイクはジョン・ダンクワースの「モデスティ・ブレイズ」のご好意により作成された。

マードック: 「好意」だなんて言わないね。実際俺たちは感謝を表して大きな見返りで奴の口を塞がなけりゃならなかったはずだろ。

2D: 「ロック・ザ・ハウス」は本当にCDになんかなるべきじゃなかったし、俺が本当に嫌いなこのアルバムでただひとつのものだよ。俺にはできることがないしまじで。俺はこの曲で、パンパイプの担当で演奏したはずだよ。

マードック: パンパイプ?! これにくそみたいなパンパイプが使われてるなんて誰も言ってなかったぞ。ちょっとこの場を外させてくれ。

ラッセル: 素晴らしい曲だが、2Dのボーカルの存在なくして、「クリント・イーストウッド」の半分の出来かな。

マードック: すまん、ラス、何言ってるかわかんねぇ、友よ。ヨギ・ベアみたいに鳴ってるだけだぜ。「Sheke and Bake, do whatever it takes(上手くやるんだ、何としてでも)」? ここいらにいるお前のお化けみたいな友達のことについてのスクービーを手に入れられなくしてもらうし、お前もと薄々思ってるぜ。


19-2000

ゴリラズデビューより2枚目のシングルにふさわしい「19-2000」は、高音と低音と大きなブレイクのヒップ・ポップ・カレッジのようなところをドライブする。

2D: 俺は時計のアラームを切ってキーボードでリフをサンプリングした。それを繋いで変な音にした。詞は…ええと、すごく抽象的な…「Get the cool shoeshine(かっこいい靴磨き欲しい)」。すごく深みがあるけど、すごく薄っぺらくもあるみたいな。

マードック: ふーん。「天才」と「まぬけ」の間のいい線行ってるんじゃねぇか?

2D: ああ、そうだね…うん、そう思うよ。その通りだ。

羽鳥美保が、ティナ・ウェイマスも加えて再びコーラスに登場する。

ラッセル: ダンは元トーキング・ヘッズのメンバー、トム・トム・クラブのティナ・ウェイマスにいくつかのトラックを送り、彼女はそのミックスに自分のボーカルを足した。彼女はCDにそれらを焼いてから送り返して来たんだ。そうしたらダンは楽曲にそれらを落とし込んで、ヌードルと美保のボーカルと合わせた。このブレンドは本当に上手くいったってわけさ。

マードック: しかも、俺たちがこのタイトルに則してるってことも見て取れるだろ? 1998、1999、19-2000。ほらな?


LATIN SIMONE

ゴリラズのまばゆい生命の輝き、くすぶったキューバの楽曲、ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブのイブラヒム・フェレールの魅力的なボーカルの演出。ゴリラズの音のパレットを全く異なる大地へ連れて行く。

ラッセル: この曲、「ラテン・シモーネ」は、かすかにラテン風で、俺はただブエナ・ヴィスタの音楽とイブラヒムの声の愛の中にいる。俺たちがイブラヒムとコネを持つにあたっては、ワールド・サーキットというレーベルのニック・ゴールドという男を通した。俺は楽曲をニックのレターボックスに入れて、俺たちを助け出してくれないか頼んだ。

とても大きなキャンバスを通してこのアルバムの音が広がる、ラテン様式の手ごたえが加わった。

2D: 俺たちはイブラヒムに詞を絶対書かなかった。イブラヒムは時々、俺の…俺の作った「what's the matter with me?(俺の何が問題なんだ?)」っていうラインの少し感傷的なところに目をつけて、「que pasa contigo?(どうしたんだ?)」に変えちゃったりしたんだ。俺たちはイブラヒムにはまじで好きなようにさせることにした。イブラヒムの描いたメロディは俺の描いたものとはちょっとだけ違ったし、だから異なったものになったんだけど、俺は好きだな。万事いいよね。

ラッセル: 聴いてみればこれは…大変なものだ。2005年に亡くなったと聞いて、とても悲しく思うよ。彼は素晴らしくて、熱い魂を持っていて、彼の純粋さは驚くべきその声の、素晴らしく表現豊かな特性に聴くことができた。彼は自分の声をたっぷりこの曲に注いだし、彼と制作することはとんでもない名誉…俺たちの誰もが決して忘れられない経験だった。魔法がかった魂だ。


STARSHINE

ゆったりとしたレゲェの楽曲、それに催眠術にかかりそうなビートと潜り込ませたギター・リフ…

マードック: 俺のベースがどれだけいいか聞こえるか? これのために俺は2本指を使わなけりゃならなかったんだ。

2D: 「星の光」。十分な時間をまじでかけられなかったしたくさんの詞もまじで書けなかったから、この制作はまじで楽しんだよ。起きてやっただけ。

マードック: まるで口を開けたら音が飛び出したみたいだったな?

2D: それが俺の覚えていることだよ、うん。

マードックは驚いて飛び上がった。

マードック: 幽霊が俺の帽子を脱がしやがった。

他のメンバーは無視した。

マードック: 本当だって。ここに座ってお前らに色々話してたら幽霊がさっと小突いたんだ。見ろって、床に落ちてるだろ。

ラッセル: 座れよ、マッヅ。インタビューが終わるまでここにいろ。

続行している間、ご立腹のマードックはどう見ても無関心な様子で席に戻る。


SLOW COUNTRY

「スロー・カントリー」は、夏風が奏でる物思いにふけった思慮深い音楽に聞こえる、歌のそよ風である。しかし、アップビートの殻のすぐ下で、再び不安な感覚があらわになる。2Dは低く口ずさむ。「Moving out of city/ Better have a second chance/ Kicked a lot of provlems, we kicked a lot of them.../ Can't stand the loneliness...(街を出て/次のチャンスを得た方がいい/問題なんて蹴っ飛ばしてさ、色んなことを蹴っ飛ばしてさ…/孤独には耐えられないんだ…)」

マードック: 元気出せよ、馬鹿野郎。大丈夫だって。

この曲は2Dのフリースタイルなボーカルの風刺とダウンビートなキーボードに分かれている。

マードック: 一体なんだって最後にくそみたいなザ・マペッツの「マナマナ」なんかしやがったんだ? それまでは本当によく行ってたってのに。

2D: 俺は唄ってただけだよ。マイクが入ってるなんて知らなかったんだもん。


M1 A1

アルバム最後の曲は、ひとりぼっちの不気味な感覚を引き起こす、ゾンビ映画『死霊のえじき』の不吉な予感と共に始まる。ゴリラズのライブバンドの総力がステレオから爆発する前に、テンションはゆっくりと上がっていき、ギターははらはらしたクレッシェンドに上がっていく。

2D: 俺とラッセルはある午後集まって、俺はラッセルに俺のハマっている山積みの映画を観せてあげた。ボロボロの古いゾンビ映画をこんなにたくさん。俺が音楽に感じるのと同じものが、俺の中に響くような何かがあるんだ、本当にたまにだけどね。唯一魂を意識できる感覚、みたいな。コミュニケーションの難しさって氷の中に閉じ込められたように感じさせる。探して、失くしてそして…狂う。それと、彼らが互いに頭や物を食べちゃったところの血みどろの欠片が俺は好きだなー。

ラッセル: 俺はこの青髪少年が言わんとすることを汲み取って、サンプルを撮った。俺たちはこれと一緒にライブセットを開けたもんだ…これっていうのが、この感覚だ。あんたたちは人生を探している孤独な魂だ。これが、俺たちが何度か使った技だ…

2D: 大げさかもだけど、俺、動きと速さと間合いの感覚を捕まえようとしたんだ。「M1 A1」って戦車、でしょ? ゴリラズが暗喩的にイギリス高速道路に沿って疾走する場所まで。

マードック: 何言ってんだ? 俺が歌詞を書いたんだぞ。ちくしょう!! あと何回だ?! 俺はずっとハワード・ディヴォートの大ファンで、クリスマスにばあちゃんに会いにストークまで車を運転しながらマガジンを聴いてたんだ。高速道路ががらがらだったからロメロの『死霊のえじき』を思い出して、そんで俺はその全部を少しくっつけて、「M1 A1」と一緒にやってきた。がらがらの高速道路はいつも警告して教えてくれる…今にも加えられるゾンビの攻撃を。

ヌードル: 車に隠れて引っ張ってこられた猫がいっぱいいるように聞こえるように、3倍もギターを弾いたよ。それから思いっきり叫んだの。

マードック: ひゅう! 終わったな。以上だ。15曲の純金。

オリジナルのCDのリリースが始まると、アルバムはいくつもの顔をもつ逸品になった。

「10ヶ月で30本近い曲を出した後、ゴリラズはダーク・ポップ・クラシックを届けた。ジャマイカのダブからニューヨークのヒップホップ、キューバのラブソングから南ロンドンのスカムパンクまで散らばる、広範囲な影響力を持つ性的で野性的で魅惑的な、ゴリラズに最初から長くいる演奏者は目・耳・心を開かせるものであり、まさにロックという長い幹線道路の標識だった。ゴリラズは彼らの様々に異なる背景と広範囲な影響力、彼らの多岐にわたる様式と破壊的なもの・近代的なもの・今でも難なくアクセスできる音を作るための、心を動かす才能を混ぜ合わせた。これは起きる時、始める時、終える時、頭の中の恋人と楽しむ時にかける音楽である。マーキュリー賞の受賞が難くないということは、ゴリラズの半分がジョニー・フォリナーという事実からではない。絶対にかっこいい。絶対にいかしている。」

ゴリラズの協力者たちの助けと共に、もともと想定していたものよりもはるかに大きな構造に集結された。ゴリラズデビューというこの巨大でぐらぐらした創作物は、それまでは15階建ての高層ビルになる予定だったが、現在は音による多重次元のガウディハウスとなっている。

2000年6月2日 ゴリラズのアルバムはニューヨークのマスターディスクにてハウィー・ウェインバーグにより作られた。

マードック: クソ程確かに、俺たちは袋の中に赤ん坊がいたことを知っていたさ。

お次は…「ホテル・スターダム」。

マードック: おう! 「俺の部屋を用意しろ、俺はバーにいる」。


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